2020年11月18日

ライブ体験記

古田さんより、昨日のライブ体験記いただきました!


【ライヴ体験記: 20201117】

「saya 秋のスペシャルLIVE 〜弦楽四重奏と超強力リズム隊を迎えて〜」
@JZ Brat Sound of Tokyo

saya (Vo) 塩入俊哉 (Pf) 岡沢茂 (B) 渡辺豊 (Drs)
徳永希和子 (Vn) 中島知恵 (Vn) 山田那央(Vla) 岡本利紗子(Vc)

***Set List***
1st:
1 眠れない夜には*
2 Lover, Come Back to Me
3 My Favorite Things
4 シェナンドー (Shenandoah)
5 シェルブールの雨傘 (Les Parapluies de Cherbourg)
6 Close to Me (ブラームス交響曲第3番)
7 Ave Maria+
2nd:
8  木もれ日*
9 めぐり逢い+
10 約束*
11 ウタキの丘で*
12 窓のない列車*
13 越天楽
14 勇者の夜明けに*
Encore:
15 アメイジンググレイス*
(*sayaオリジナル +塩入オリジナル)
**************

温かいーそれがこの日のライヴを観終わった最初の感想だった。

弦楽器カルテットとリズム隊(ベース、ドラムス)を加えた編成は、ライヴ中saya本人が語っていた通り豪華。ピアノのみの演奏でシンプルに歌唱そのものをじっくり味わうのも美味だが、今回のような編成によって生じる音像全体のグルーヴや旋律、音塊を浴びるのも至高。いずれにせよ、全ての楽曲の譜面を興したという塩入にお疲れ様でした!とまずは言いたい。

ライヴは“眠れない夜には”でムーディに始まる。シティ・ポップ寄りなこうした楽曲にsayaの落ち着いた声はとても合う。そしてリズム隊、岡沢のベースのいやらしさ、渡辺のドラムスの的確さを聴いて、このライヴへの期待感は益々高まる。
“My Favorite Things”でのストリングスの心地良さはある意味予想通りだったが、それを上回ったのは山田のビオラ。バイオリンとチェロの中間に位置するがそのポジションは大変重要で、ストリングス音像の輪郭を提示してくれるというか、音をまとめてくれるというか。にしても、弦楽器が4人もいるとその音塊の大きさにニヤついてばかりな私…マスクしてて良かった笑

切なさの中にある芯の強さを感じた(あくまで当社比←フランス語分からないので)“シェルブールの雨傘”。力まず歌うsayaは歌中の主人公に入り込んでいるように見えたが、その歌の中にある強さをぐっと抑えているようにも見え、歌唱力が益々進化していることを改めて確信する。
前半を締めた“Ave Maria”。荘厳な空気が一気に辺りを包む。想像だが塩入の得意分野。どうやってそのタッチでそこまで通る音を鳴らせるのだろう、音は大きくないのに。念のこもり方がハンパないとしか言い様がない(失礼)。テーマは祈り。余計な装飾は無用、音数も少なければ少ないほど、その祈りは際立つ。言い換えると相当計算された音設計でなければ成立しない。塩入版Ave Mariaはそれらを超えて鳴る。sayaの歌う姿が少し眩しい。

後半。”木もれ日”にsayaはどのような想いを込めているのだろう?今回の歌唱はこれまでと少し違う段階の想いが差し込まれているように思えた。歌詞を見ると初々しさやか弱さを感じるが、歌唱のスケール感がいつもより大きい。まるで成熟した女性があどけない少女に諭しているかのよう。
saya以外で展開された“めぐり逢い”。塩入、それはズルい、今回の編成で感動しないわけがない。ピアノがメインの楽曲に仕立てているはずが、誤解を恐れずに言うとピアノ以外の全てが主役になって音像を形作る。弦楽器たちに心を鷲掴みにされ、ベースにハッとし、シンバルに高揚する。
“約束”。間違いない、歌に対する浸透具合が違う今夜のsaya。変な話、sayaの声がそこにあるようで、ない。演奏の中に溶け込んで鳴っている。

続いての2曲は、この夜のハイライトだった。

“ウタキの丘で”。カルテットが入ってきた瞬間、その音像が立体的に響いてきた。またもやマスク越しにニヤけてしまう私。そして脳裏に浮かんだ情景…見渡す限りの草原の丘、遠くに見える海、青を超えた青い空、少し強めに吹いて追い越していく風。擬似的な映像体験なら今はVRがあるが、そんな陳腐なものを遥かに超える、音世界が生み出した映像。しばらく忘れられそうにない。
”窓のない列車”。sayaにずっと歌い続けてほしいと私的に願っている楽曲。弦楽器が加わることでエグみが増すことは想像できたが…岡本のチェロに心乱された。話し掛けてくるのだ、チェロが。人間の声に近い音色というより、人間の心の声に近い音色だと、私は勝手に解釈した。sayaの、叶わない希望と圧倒的な絶望と現実を忘れようとする妄想をごちゃ混ぜにした歌声に、チェロが「そうよ、希望なぞどこにもない。悲しいわね」と言っているように聴こえ…す、すみません、妄想癖がヒドいもので。

“勇者の夜明けに”はかつてなくバンドサウンド。渡辺が超絶カッコいい…シンバルの叩き方、スネアの鳴らし方、どれをとっても何ひとつ同じではない微妙な使い分けを見せながらビートを叩き出す。そして岡沢の絶対王者感…いくらだって目立つ手法はあるだろうにそれを出さずに全体を支え続ける…と思いきや時々見せるフレーズの速さに余裕すら感じさせる。むむ。
アンコールの“アメイジンググレイス”は、特に徳永と中島のバイオリンが格調高い荘厳さを演出。細かなフレーズや演奏手法、手数を考えると「格が違う」と思わせる巧者ぶり。的確、そして情感たっぷり。見事。そこに被さるsayaから絞り出された歌は、祈りではなく力強い激励に聴こえた。

「ありがとう」。そう思いつつ帰路に着いたが、なぜか全く寒くなくコートを脱いで帰った。このライヴがそれだけの熱量を放射し観客の心を温かくしてくれたのだと…決して更年期ではないと…思っています汗

音楽は人をこんなに温かくさせる。歌の力は人をこんなに温かくさせてくれる。
sayaはじめ演者の皆様、スタッフ・関係者の方々、JZ Brat、ありがとうございました。

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posted by aqua at 18:30| Comment(1) | コンサートレヴュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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