ありがとうございます。
僕のhpを運営してくださるtakako.さんによる
レビューです。
より転載させていただきました。

出演:藤澤ノリマサ(vo)古川展生(vc)塩入俊哉(pf)
program
















Encore


アイボリーのベストスーツに黒いシャツ(お袖にはボタンがぞろぞろ並んでいる。プラス光りもののタイ)の古川さんを先頭に藤澤さん(真紅のバラ

いえ、ち、違う。藤澤さんが、かな〜〜りスリム!王子に変身。
TVでは判らなかったのですがび、びっくりしました。と同時に目が離れない

(MCは日が経ってしまったために、かなり曖昧です。それでも書き残したく。スミマセン)
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥
オープニング曲はブラームス交響曲第3番第3楽章がモチーフとなっている曲、
Close to me

原曲はチェロの哀切な最初からのメロディが印象的。
イントロはピアノ&チェロの柔らかなオリジナル二重奏。このさりげなく穏やかな流れが曲のくら〜〜いイメージを変えていました。
そこへすっと滑り込む哀切な主題=歌声。スリムなスタイルとは真逆な堂々とした正統派クラシックな声の響き。重厚でありながら抑え気味に暖色系の優しさを感じる声。アレンジはチェロの哀愁のメロディにふっと微笑みが溢れる音色が加わり、救われ、沿いながらも響かせるチェロ(ほんとは主役なのに脇役に回る音色の妙技を感じました)ピアノは重厚な声を支えるレンジの広さとアルペジオの大波小波で揺らす技。
それぞれ三つの声が独立しながらも融合している。そう、この感じ。
奇を衒うことなく音楽の流行に左右されず、楽曲そのものを多角的に掘り下げ、クラシックの名曲が、どこかが違うアレンジの妙技でさらに生まれ変わっている。
耳に心にすっと馴染んでくるここだけの心地よさを連れて。
レジェンド・オブ・クラシックス

ほ〜〜〜〜っと上がる感嘆の声を飲み込み、
藤澤さんのMC

ニュー・シネマ・パラダイス

いきなりチェロのソロでまず涙腺が緩む。小躍りしたくなるピアノのワルツ走句に藤澤さんの声は軽快、ふっと微笑まれた表情をもプレゼントしてくださる

ステージ向こうに広がっている晴れ渡った碧空と、遠くに見える富士山のワンシーンを今、暮れ行く夕闇に焼き付けるように曲をお供に鮮やかに刻み込みました。
そして
いやん、もう。藤澤さん反則!
って言いたいくらい、前二曲とは真逆の優しく囁くナイーヴな声でささやき歌う、
映画

My Heart Will Go On

時々チェロのつん…つん…って爪弾く音に胸のドキっ!


から、サビの部分、きたあぁあ〜〜〜藤澤さんのベルカント。テノール全開!!(私の上半身はのけぞっていたのでは・笑)
ユニットが奏で立体化していくこのスケールの大きさは海原なんでもんじゃない宇宙レベル(待って、それは大げさかも・でもそう申したい)チェロがラストで震える響きには客船の残像をも見、じんわり伝わりました。
ここで藤澤さんは一旦退出なされ、
スーパーDuoコーナーへ。
古川さんが古武道のお話、塩入さんとは15年ご一緒に活動なさっていることを話され、昨年この八ヶ岳音楽堂で録音した、New Album『The Ballad』の中からタンゴの定番をご披露。
ポル・ウナ・カベーサ

フィギュアでの曲がテーマゆえに、メダリストオンアイスを見に行った時を思い出していました。
この曲が未だ(リハ)流れていて、浅田選手の本番を楽しみに待ったのでした。内容は失恋ながら、おちゃめな仕草もできちゃう可愛らしい曲想が真央さんにぴったり。
チェロが主役となりますと待っていましたとばかりにとても嬉しげに楽しげ。それでいて堂々としていて。ピアノが主役になると、Duoはきさくに会話をかわし始める。動きの自然なフォルムを細やかに描く饒舌なおしゃべりがしなやかに氷上を滑っていきました。
古川さん

Album 『ジェントル・ソウルズ」からリストの
愛の夢

ピアノのイントロがほんっと流麗です。チェロも気持ちよさげにうたいます。でも細やかなパッセージの技も聴かせどころ。二番は優しさにぼ〜〜っと聞き惚れる気持ちをこちょこちょくすぐる悪戯っ子。”起きてね〜夢なのよ”と教えてくれているのかも。
でも今宵は全編に渡って醒めないスィートな調べでした。
古川さんが急遽参加することになったアイスショーで弾かれた曲。
タンゴの名曲、ジェラシー

はい。チェロで弾くこと自体超絶技巧を要します(塩入さん曰く「古川君だから可能」)
そこで古川さんの例え「チェロのトリプルアクセルや四回転ジャンプが満載です」
はい。
のっけからのイントロがヴァイオリンソロなんてもんじゃなく、
チェロがいきなり4回転半ジャンプ!

鮮やかに滑らかにぐるんと時空が回転し

これ相当コワい(笑)
なんて考えていたら、申されたとおり、超絶技がジャンプや回転に添っていくフィギュアの演技を見ているよう。
音色から演技を想うという感覚は新鮮。
今宵古川さんのチェロが一番素敵と思う曲でした。
拍手大喝采!
そして藤澤さん再登場「(古川さんの)演奏するのとおしゃべりのギャップがね。チェロ界のザキ山さんと呼ばれて(爆笑)…、レジェクラいいですね。後ろで僕、ジェラシーでした」と(*^▽^*)
カッチーニのアヴェマリアをモチーフに。藤澤さんの曲、
地図のない道〜Ave Maria〜

レジェクラではお馴染みになってきました。夜の帳が下りてきた光加減に、神聖な三つの声は祈り。
ポップな歌唱とテノールが曲想の変化と同時に変わるので、地上と天界の二面が描き出されるよう。
そしてゴシック様式から、敬虔な声の流れのままに、オルガン的な音色やシンフォニックな融和が新たな領域を開いて行く。祈りももちろんですが心が穏やかにそして素直になれる感覚はここだけ。
藤澤さん

イントロに、えっファントム?が始まるのかしらんと思ったら、パッと幕が開いて(演奏でね)
その中の
オペラ座の怪人〜Music of the Night

英語歌詞で歌ってくださいました。日本語訳を読みましたが結構強い感情が閉じ込められています。
藤澤さんの声の表情をよおっく聴いていればワンフレーズの中に、ポップとテノールの変化技を組み込んでいて、ジキルとハイドじゃないけれど、迸る情熱と抑えたい冷静さをより細やかに現していて、そんな葛藤が本当の主人公の姿。そこに純粋な愛情だけがすっと立ち上っていくと、聴き入り沁み入りました。
いっぱいの温かみを会場に残して
一部終了です。
休憩時間を挟み
二部はまず、藤澤さん塩入さんのお二人が登場。
ステージの灯りが木の色。会場内も自然な夕闇色に包まれていることに気付きました。
永遠の人

ポップスジャンルでのオリジナル曲。ラヴバラードの極みです。
夕闇も深まり、会場内の色彩が木目と同化したアダルトカラーに染まった雰囲気にジャストすぎて曲ごと秘密にしたい。シンプルなピアノの調べに、歌は哀切な感情を内に秘めた囁きで、寒空に拾われた仔犬がそっと両手で包まれ安心して温められていいる感(この瞬間だけは仔犬になりたい)。そして激情もポップな歌声を余す事無く広がる鮮烈な声量はさすが。クラシックには意外にも(そうでない曲ももちろんありますが)単純な調べと気付く曲が多く、オリジナルで一語一音に拘る表現の密度を充分に聴きました。
ハートのお目目いっぱいに見つめられた藤澤さんがここで爆弾発言!
「(会場を見渡し)…暗いほうが良いのかな…」ぎょっ

そしてリハーサルが一回であったこともお話くださいました。
「ワンピアノ、ワンヴォーカルもいいですね」と申され



そしてお初の曲をと。
ピアノのイントロでは判らず、歌声で、あぁ〜この曲、ジャズのスタンダードナンバー
煙が目に沁みる

声の表情の変幻自在さが際立ちました。
ピアノの演奏はスタンダードナンバーに添っていますが全くもってスタンダードじゃなく、声の反応を試すが如くにあっちからこっちからと絡み付き、煙たい。しかしこれが煙たくなく超素敵(どっちだ!・笑)。正に煙がくゆる七変化に、藤澤さんの声が瞬時瞬時に反応してこれまた八変化の声技。
今迄に感じたことがなかった渋みとちょっとした遊び心までを声に聴いて、自然体なお姿と重なりアーティストをぐぐっと身近に感じました。
クライマックスでの広がりは煙が去り澄み切った眼差を見つめている幸福感。
ブラボ〜の嵐。
一気に新たなジャズのレパートリーを得られ、更なる飛躍が開けた、目からウロコの曲となりました。
私には白眉な曲でした!
コーフン覚めやらない雰囲気に、
待ちきれなくなった感の古川さんが(僕を忘れちゃ困るといわんばかりに)スタスタ再登場

追憶のオペラ

表現の頂点で歌われる慟哭の逞しさと、繊細さと柔らかさはポップな世界での表現を持たれたからこその描き分けがスゴイ。それぞれのフレーズに小さなドアが付いていて、私達が思い描くストーリーが声の趣向でそのワンシーンが確実に開いていく、捲る愉しみさえ沸きました。
多分この曲のラストであったと思いますが、フレージングでマイクを遠ざけ、そして近づけてエンド。会場のどこに座っていても同じく聴こえるであろう声量の伸びが、生声とマイクの声の遠近で、主人公の息遣いが、はっとするほどリアルに浮かび上がった瞬間を生んでいたと思います。
昨年のRevueを簡潔に記します。
…まるで人生の風景を振り返り思いを馳せていく静かな序盤から、ベルカントの哀切な声は、歌詞のそこかしこにある悲哀を訴え続け、凄みすら感じさせる熱唱でした。 主人公の激しい憤り、悲痛な呟き、どこを切り取っても有無を言わせない感動を残し、演奏者の琴線をも刺激したのでしょうか。チェロのパッセージの鮮やかさも熱さがひとしお。ピアノの流麗さも際立って。 穏やかなコーダでは躊躇いがちに足を止め心情を紡ぐ声に、私達の心にも足跡を残しながらすっっと消えてゆく。 歌になって気付いたこと。サビの繰り返しが多いのに、声の緩みなんて絶対許さない力量を矢継ぎ早に歌い上げていく説得力の凄さ。カオスな如くに頭の中で鳴り響いている。ワタクシ、売野さんのストレートに曲の世界を現す日本語詞が聴きたい。イタリア語Mix ver.でのポップオペラを切望しまぁす”第2回目のRevueより。
1回目は塩入さんのピアノソロ、2.3.回は藤澤さんのイタリア語。
いつか売野雅勇氏の日本語verを。切に願います。
藤澤さんは退出なされて塩入さんのソロコーナー

暗い曲なのですがフィギュアでは選手がよく選ばれる曲であると。
白夜行

フィギュアで使われているのはドラマVer.でしょうか。
仄暗い翳りのある淑やかな調べに氷上で舞う孤独な姿を思い、スマートに美しい流動から、やがてその舞いに人々が手を差し伸べ、粋なグルーヴを生み、繋がりを作っても自ずからヒトリへと戻っていく。
ナルシスト系な美しさを聴きました。
古川さんは読み出すと止まらない東野圭吾さんのファンでもあると。私も好きです。白夜行(分厚い単行本でした)も一気に読みました。
大震災の後に書かれた曲、
地平を航る風に

のっけからチェロはゆったりと主題を奏でる。今迄の日々を慈しむように。
そして速度を増し、清々しい風が吹き抜けるような爽やかさでぐいぐい押していく。
間奏が私は結構お気に入り。
色んな場面が見え隠れし、あんなこともこんなことも、全てが有り難いのだと。
己の足元をしっかり地に付けて、何かに向かっていこうとする決意や強い信念をぐぐっと奥底に感じさせる演奏に身体が熱くなりました。
上昇気流に乗って
古川さんの株が最高値を示したことでしょう。曲名を申されると同時に歓声が沸いた超人気曲。
タンゴの革命児 A.ピアソラ
リベルタンゴ

フィギュア→オリンピック→チェロ→ヨーヨーマとフラッシュバックする脳裏の映像をシャットダウンする演奏。何回も聴いていますけど所変われば品変わる(笑)
お互い目を瞑っていてもその阿吽の呼吸で弾き進めていかれるんじゃないかしらと思うほどの演奏には
めくるめくタンゴのリズム、輝かしいピアノの走狗が先行するけれど、バンドネオンではなく、このコンサートに於いてチェロが弾くことには、実は滑らかな美しい旋律の調べに聴き入ってほしい。そこに自由が開けていく。踊るタンゴの伴奏ではなく美しい調べが主役になれる音楽の魅力。情熱の演奏から一歩踏み込んだこの曲の根幹、ピアソラの気に触れられた感覚が新たに加わりました。
藤澤さん再々登場。
希望の歌〜交響曲第九番

この曲を歌われるとエンドが近いのだと寂しさもよぎりますが、楽しさに吹っ飛びます。
リズミカルな音色と声は言葉の飛び石を、切れ味も爽快にそして丁寧に渡っていく。
オペラにおける声のダイナミズムを余すことなく発揮され、苦難にもへこたれずバイタリティに溢れながら前に進んでいくという生き様が象徴され、そこには笑顔が必ず付いてくるよとのメッセージを思いました。
レジェクラの皆さんも私達も心がひとつになれるホットなプレイでした!
藤澤さん10周年アニバーサリーの年、ソロコンサートも聴きたいです。
いよいよラストの曲、タイトルを述べるや否や「わぁ!!」の歓声。これもまた人気曲です。
シャンソンの名曲、愛の讃歌/M.モノ―

本当にこの曲が好きで歌っているという喜びが伝わりました。魅惑の歌詞もじっくり歌い上げながら情熱を高めていって展開部で口火を切るベルカントに卒倒しかけました。はい。
Encore
Period

別れの詞ですが前向きな曲。このConcertに於いては、”おかえり”と言われているよう。もう聴いているだけで恋する気持ちの幸せを御裾分けしてもらえる夢見心地のバラ―ド。胸がきゅんきゅん。ふいに正気に戻ったのは、ピアノとチェロの演奏を当たり前のように聴いていますが、優しい声にはふわりと柔らかな響きを、さらに一筆書きのような達筆なパッセージを流し、そこから立体的にアグレッシヴに巻き込んでいく流れ。二つの楽器の手腕に全くうならされているのでした。全て生演奏!
You Raise Me up

メロウなピアノの和音は鐘の音?そう、この曲はレジェクラ、初回でのオープニングナンバーでした。
今回の第3回目には満員となり(スゴいことです)レジェクラシリーズの第一楽章が築かれた実績=ひとつの区切りを序奏でのチェロのソロ、バッハ調の荘厳な調べが告げていたとも聴き取れ、ピアノの和音は愁眉を開く息遣いを思いました。
さぁ歌へ、そして、ココからが新たなる挑戦&展開への出発点になっていくと(偉そうにヒトリ勝手に妄想してます)
レジェクラ、第二楽章がどのような形式で楽章が築かれていくのかと、膨らむ期待にぞくぞくワクワクし、
藤澤さんの繊細さと強靭さを兼ね備え、更なる可能性を聴きたいポップオペラにも思いを馳せている自分が居ました。
”音楽の真髄を聴く冬”
音色は届くと同時に過去となってしまう。なのにメンバーはなぜにこれほどまでの創作意欲と集中力をもって奏でてくださるのか。
真髄の芸術を求め探求を重ね備わった感性が、私達の心に焼付くことを知っているから。
真髄は消えてなお記憶に深く刻まれるはず。
今、
音が無くても三つの声はここにあります。
ありがとうございました。
takako.2.8.記
一曲一曲にこれほどの様々な思いを抱かれるくらい、感動の連続だったのでしょうね。
レジェクラ、塩入さん、古川さん、藤澤さんの音楽が大好きであることを誇りに思います。